お 吉 物 語

作詩 藤田まさと  作曲 陸奥 明
昭和35年 
1 泣いて昔が 返るなら
  なんで愚痴など 言うものか
  花のいのちは 一度だけ
  よしておくれよ 気休めは


「なにもかもおしまいなんだ。でもさ、わたし
にゃわかっていたのさ。どんなに男を憎んだって、女は女、女ひとりじゃ暮らせないってことがさ。世の中を渡り歩いて、しみじみそう思ったんだよ。わたしだって女だものねぇ」


2 夢も見ました 恋もした
  二世を誓った 人も居た
  娘ごころの 紅つばき
  どこでどなたが 折ったやら


「ハリスさんも死んだ。鶴さんも死んだ。今度は私の番なんだ。今のわたしは、穴のあいた三味線みたいなものなんだ。どんなにつくろって見たって、もう昔の音(ね)なんか出やっしない。……お酒だよ。お酒おくれッ!」


3 辛い浮世の 路地うらで
  毒と知りつつ 呑むお酒
  下田港の お月様
  明るすぎます お吉には 


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