東 京 詩 集

作詩 佐伯孝夫  作曲 吉田 正
昭和35年
6月10日。雨。運河のほとりで
  雨、雨、雨
  誰の涙かしめやかに
  黒い運河に 雨がふる
  恋は男をこんなに泣かす
  きみを抱けば きみを抱けば
  ああ、涙ふる


10月4日。霧。夜の酒場で。
  霧、霧、霧
  いうにいえない淋しさに
  もらす吐息か 窓の霧
  逢えばつらさも忘れるものを
  グラス冷たい グラス冷たい
  ああ、カウンター


12月6日。風。枯葉散る夕べ
  風、風、風
  並木道吹く今日の風
  恋も枯葉と 散らしゆく
  衷し詩集の表紙のように
  空は灰色、空は灰色
  ああ、凍え空

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