雨 の 九 段 坂

作詩 矢野 亮  作曲 佐伯としを
昭和36年 
1 あえぐ洋傘(こうもり) かしげて仰ぐ
  雨に煙った 大鳥居
  母は来ました やっと来ました
  可愛いお前が 住むお社へ
  一目なりとも 逢いたさに


2 濡れた玉砂り 踏みしめながら
  どこか空似の 人が行く
  どうせ帰らぬ 愚痴と知りつつ
  生きていたなら あの年頃と
  老の泪が 先に立つ


3 両手合わせて ぬかずく背に
  ほろりまつわる 花吹雪
  せがれ許せよ よくぞ死んだと
  ほめにゃならぬが 切ない嘘と
  かくし切れない この母を


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