敵 は 幾 万 作詩 山田美妙 作曲 小山作之助 明治24年 |
1 敵は幾万ありとても すべて烏合(うごう)の勢(せい)なるぞ 烏合の勢にあらずとも 味方に正しき道理あり 邪はそれ正に勝ちがたく 直(ちょく)は曲(きょく)にぞ勝栗の 堅き心の一徹(いってつ)は 石に矢の立つためしあり 石に立つ矢のためしあり などて恐るる事やある などてたゆとう事やある 2 風に閃(ひらめ)く連隊旗 記紋(しるし)は昇る朝日子よ 旗は飛びくる弾丸に 破るることこそ誉れなれ 身は日の本の兵士(つわもの)よ 旗にな愧(は)じそ進めよや 斃(たお)るるまでも進めよや 裂かるるまでも進めよや 旗にな愧(は)じそ耻(は)じなせそ などて恐るる事やある などてたゆとう事やある 3 破れて逃ぐるは国の耻(はじ) 進みて死ぬるは身の誉れ 瓦となりて残るより 玉となりつつ砕けよや 畳の上にて死ぬことは 武士の為すべき道ならず 骸(むくろ)を馬蹄(ばてい)にかけられつ 身を野晒(のざらし)になしてこそ 世に武士(もののふ)の義といわめ などて恐るる事やある などてたゆとう事やある |