嗚呼玉杯に花うけて

作詩 矢野勘治  作曲 楠正一
明治35年 
1 嗚呼(ああ)玉杯に 花うけて
  緑酒(りょくしゅ)に 月の影宿(やど)し
  治安の夢に 耽(ふけ)りたる
  栄華(えいが)の巷(ちまた) 低く見て
  向ケ岡(むこうがおか)に そそり立つ
  五寮の健児(けんじ) 意気高し


2 芙蓉(ふよう)の雪の 精をとり
  芳野(よしの)の花の 華(か)を奪い
  清き心の 益良雄(ますらお)が
  剣(つるぎ)と筆とを とり持ちて
  一たび起たば 何事か
  人世の偉業 成らざらん


3 濁れる海に 漂(ただよ)える
  我国民(わがくにたみ)を 救わんと
  逆巻く浪を かきわけて
  自治の大船 勇ましく
  尚武の風を 帆にはらみ
  船出せしより 十二年


4 花咲き花は うつろいて
  露おき露の ひるがごと
  星霜移り 人は去り
  舵とる舟師(かこ)は 変るとも
  我(わが)のる船は 常(とこし)えに
  理想の自治に 進むなり


5 行途(ゆくて)を 拒むものあらば
  斬りて捨つるに 何かある
  破邪の剣を 抜き持ちて
  舳(へさき)に立ちて 我呼べば
  魑魅魍魎(ちみもうりょう)も 影ひそめ
  金波銀波の 海静か

 
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