天 城 悲 歌
作詩 佐伯孝夫 作曲 吉田 正
昭和31年
1 伊豆の温湯(いでゆ)の 宿帳に
妻とはじめて 君の名を
書いた一夜(ひとよ)の 明けやすく
思い残して あゝ
たどる天城の 紅椿
2 見れば椿の 花さえも
二つ寄り添い 離れじと
燃えて葉蔭に 咲くものを
山は晴れても あゝ
どこが二人の 住みどころ
3 こころせまりて しみじみと
君を抱けば ニッコリと
可愛い睫毛に 宿す露
さらば椿よ あゝ
湯の香さみしく 春は逝(ゆ)く