籠 の 鳥

作詩 千野かほる  作曲 鳥取春陽
大正14年 
1 逢いたさ見たさに怖さを忘れ
  暗い夜道をただ一人


2 逢いに来たのになぜ出て逢わぬ
  僕の呼ぶ声忘れたか


3 あなたの呼ぶ声忘れはせぬが
  出るに出られぬ籠の鳥


4 籠の鳥でも知恵ある鳥は
  人目忍んで逢いに来る


5 人目忍べば世間の人が
  怪しい女と指ささん


6 怪しい女と指さされても
  誠心こめた仲じゃもの


7 指をさされちゃ困るよ私
  だから私は籠の鳥


8 世間の人よ笑わば笑え
  共に恋した仲じゃもの


9 共に恋した二人が仲も
  今は逢うさえままならぬ


10 ままにならぬは浮世の定め
  無理に逢うのが恋じゃもの


11 逢うて話して別れるときは
  いつか涙がおちてくる


12 おちる涙は誠が嘘か
  女ごころはわからない


13 嘘に涙は出されぬものを
  ほんに悲しい籠の鳥

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